「日本は別」という安心感の落とし穴
年始早々、円は対ユーロで100円を割り込んでいる。
対ドルに関しても76~77円の歴史的な円高水準を保ったままである。
巨額の財政赤字を抱える日本の円が選択される状況にリスクはないのか。
財政赤字はほとんどの先進国に共通だが、経常収支との組み合わせで
3つのグループに分けられる。
まず経常収支も赤字で、海外からの資本に頼らざるを得ない国。
ギリシャを筆頭とする欧州の重債務国が典型である。
次に経常赤字だが、基軸通貨国の特権で海外資金が比較的容易に還流する国。
ご存じ20世紀の最終勝利国の米国である。
ユーロ不安から資金還流が増え、ドルの実効レートは昨年夏以降上昇し始めている。
また最上級の格付けを失っても、米国債の利回りは戦後最低水準に低下している。
そして経常収支が黒字である日本やドイツ。
日本の政府債務残高は名目国内総生産比で200%を突破し、ギリシャをも上回る。
それでも長期金利が低水準でいられるのは、この経常黒字のたまものである。
そして経常黒字と表裏一体の関係にある家計と企業の貯蓄のおかげで、
日本国債の95%は国内で消化している。
しかも消費税が20%前後の欧州と違い、5%の日本には増税の余地がある。
「日本は欧州とは別だ」論はこのあたりを根拠にしている。
しかし昨年11月と12月にIMF(国際通貨基金)は立て続けに警告を発している。
まず高齢化に伴う貯蓄の取り崩しで、10年以内に政府債務残高が個人の金融資産を
上回るのは確実の状況であり、東日本大震災と円高の長期化による営業活動の
海外シフト化による、日本国債の暴落の可能性を指摘している。
怖いのは、企業が膨大な余裕資金を持て余す結果、銀行を経由して日本国債の受け皿
になるというこれまでの構図が急速に変化し始めていることであり、
そしてそういう状況に金融関係者が無関心を装っているように見える点である。
2011年10月までに日本を巡る直接投資収支は6兆円の流出超で、前年同期2.2倍。
その間の経常黒字額をも上回った。
「日本は別だ」という考え方は、
ユーロ危機の最中に円が「安全資産」として買われ続けたことで醸成された面もある。
しかしそうした円買いの実態は、いつでも売却できる短期国債であり、
日本株については外国勢による売り越しが続いている。
IMFが指摘した財政赤字縮小の遅れを海外勢が実感するようになれば、
というよりは、短期データ中心のコンピュータが感知してしまえば、
資金は瞬間に日本から離れていく。
コンピュータが全てを行う現在の金融世界には“情け”も“容赦”もない。
結果的に日本は、円高の長期化に乗じて海外シフトを行い、
その一連の作業を終えた時点で超円安の時代を迎える、
つまりはダブルパンチで日本は損害を被るといったシナリオは当然考えておかねば
ならないのである。
世界経済が歪になっている。
2012年は世界的な政権交代の時期でもあり、大波乱の年と考えた方がよさそうである。
特に3月と6月は注意しなければならないようである。
