スポーツ選手の価値と値段
最近の日本のスポーツ界では、
ダルビッシュ・有の巨額トレードが大きな話題になっている。
確かに1人の人間の才能に対して、総額85億のカネが動く世界は異常ではある。
たかが野球、されど野球。しかし事実は事実である。
一方で、一般的には目立たない、日本ではマイナーと言われる分野での動きも
目立っている。
まず卓球。
日本では「温泉旅館での卓球」が定着しているが、卓球のTV中継を見られる方も
少ないとは思う。だが、入っていけばそれなりに面白い。
1月22日の全日本卓球選手権。鮮烈な新チャンピオンの誕生だった。
5連覇中であった本命中の大本命・明治大学・水谷隼(じゅん)を、
高校三年生の吉村真晴(よしむら まはる)がフルセットの末破って、
チャンピオンの座についた。
3-3で迎えた最終ゲーム、7-10から5ポント連取の勝利は圧巻だった。
高校生がそこまでやるか?って世界が始まっている。
草食系と一括りにされる日本の若者も捨てたものじゃないな、と思わせた瞬間だった。
そして全豪オープンでの錦織圭(にしこり けい)の8強入り。
男子テニスなど世界に通用するとははなから思っていないので、期待もしないし、
またされてもいなかった。
テニスと言えば、松岡修造の不必要な元気が目立つ、そんな(不思議な)人間の
俳諧する世界と思っていた。
1月25日の準々決勝も、どうせって感じでライブ放送を見ていた。
結果は3-0のストレート負け。
だが実力の差はほとんどないと思わせるようなジュースの連続だった。
世界ランク4位のアンディ・マレーは191㌢。世界ランク26位の錦織は(公称)178㌢。
その身長差のハンデを感じさせない熱戦だった。
今回の活躍により20位以内が確実視されている錦織は22歳。
25歳までには世界制覇もできるのではないかと思わせる、
ある種のオーラが出ていたように思う。
そしてダルビッシュ・有。
元ヤンキースの55番・松井の衰えが目立ち、今や行き場所さえもなくなり、
イチローの影も薄くなり、レッドソックスに入団した松坂大輔がイマイチで、
日本球界全体のレベルが疑問視されている昨今だが、
入札金を含めて1億1千万㌦(85億円)という金額には、ひたすら驚くしかない。
確かに今の日本の球界で、ダルビッシュを超える投手は見当たらない。
いるとすれば、楽天の田中将大くらいだが、
球速ではなく8種類と言われる多彩な変化球で、メジャーを制覇できるか否か。
金額に見合うだけの活躍ができるか否か。
IT化が顕著に進んでいる昨今、世界中のスポーツが楽しめる時代。
“日本では云々”という時代ではない。
世界の一流の選手が競いあう中で、その中身(コンテンツ)が問題になっている。
結局は「いいものはいい」のである。至って素直なロジックである。
スポーツという本来は純粋であるべき世界に、巨額のカネが乱舞することで
シラケる部分は否めない。
とは言え、ドン詰まり感のある日本の政財界を尻目に、世界に勇躍する日本の若者がいる。
ある種の光明を見出しているのは自分だけではないと思う。
