吹き荒れる橋下旋風と、今後の日本の政治
注目されていた11月27日の大阪ダブル選挙。
開票が始まった午後8時、NHKでは大河ドラマの開始と同時に“橋下当確”の
速報テロップが流れた。
開票0%で当確?とは思ったが、橋下徹代表率いる「大阪維新の会」は圧勝した。
大阪市庁舎は中之島という場所にあるため、大阪市役所労働組合約500名と、
大阪市従業員労働組合の約7000人の組合員を中心に、
現役およびOBを含めて“中之島一家”と呼ばれてきたそうである。
今回の市長選挙では、橋下氏が(強引に)導入しようとした
「職員基本条例案」と「教育基本条例案」が最大のテーマとなった。
上記2例案は、市の職員や教員を5段階で相対評価し、
2年連続で最低のDランクの場合、処分対象にするというもの。
こうした流れに危機感を持った“中之島一家”が一丸となって平松前市長の支援に回り、
総力戦で挑んだものの、あえなく敗北を喫することになった。
選挙前では橋下氏が市長になれば、数百人単位で職員が辞表を提出すると言われていた
ものの、今のところ誰も辞表を出していない模様である。
今回の市長選挙では60.92%という投票率も注目された。
普段は選挙には無関心の、若者や女性層が投票に行ったのは確かなようである。
そうした“無関心層”が「維新の会に大阪を変えて欲しい」と意志を明確にしたのである。
ファシズムをもじってハシズムと揶揄される橋下氏の政治手法は「数の論理」。
勝てば官軍という姿勢は、確かに民主主義社会の風情ではない。
もし今後、大阪都構想を推進する上で市議会が障害になると思えば、リコールという
強硬手段さえ取りかねない。
地方自治体は「(一種の)大統領制」である。
首長が財政の主導権を握れるからである。
しかしこれまでの首長はナアナアの感覚でやってきたし、
議会との対立の図式などがあって、十分に機能することがなかった。
石原慎太郎東京都知事も、河村たかし名古屋市長も改革に邁進したが、
対立する議会の存在があり、一定の制限を受けてきた。
ところが今回の大阪では、大統領制の力と怖さを知った人間が議会まで牛耳り、
それを最大限に利用しようとしている。
橋下氏は、一連の環境を一気に変えようと試みているのである。
“面白がり”の大阪人が、橋下氏に“一度やらせてみよう”となった。
元々大阪人には自発的なエネルギーがあった。
例えば世界最古のコンクリート建築である大阪城天守閣は
「大阪には大阪城が必要だ」と、市民が再建したもの。
そうした底知れないエネルギーを阻害していたのが府庁や市役所に巣食う役人だった。
橋下氏は、一連の“大阪を斜陽都市にした”大きな壁に挑戦していることにはなる。
「大阪維新の会」に国政が追随しようとする雰囲気が出始めている。
確かにこのままスンナリといくほど問題は簡単ではない。
しかに現在の日本に巣食うドンヨリとした閉塞感を一新するには、
橋下氏のような“(劇薬に近い)蛮勇”が必要なのかもしれない。
