丸の内 タニタ食堂
来年1月、「丸の内 タニタ食堂」がオープンする。
洒落れたカタカナ文字のレストランが乱立する国際都市・東京のド真ん中・丸の内で、
あえて純日本的を装う“少々ふざけた”感のするネーミングの食堂(レストラン)の開店が、
なぜ注目されているのだろうか。
ここには今後日本が考えなければならないテーマが含まれている。
株式会社タニタ。設立は1944年1月。
業種は精密機械。株式は非上場。本社所在地は東京都板橋区。
事業内容は計測機器の販売。資本金は5100万円。従業員は連結を含めて1200名。
計測機器をもう少し詳しく言えば、体組成計・体脂肪計や、料理用秤、タイマー、
活動量計、歩数計等の製造販売。
タニタの特記事項としては、日本で初めて家庭用体重計を「ヘルスメーター」と命名、
製造販売を開始した。
また世界で初めて体脂肪計や体組成計を製造販売するなど、常に先進の健康機器を開発、
製造販売している。
そのタニタが1999年、「健康機器メーカーの社員が太っていては示しがつかない」と、
低カロリーメニューを中心にした社員食堂が作られた。
メニューの特色は、定食スタイルで1食あたり500㌔カロリー前後、塩分3㌘前後と
なっている点。
そのうちタニタ社内で「腹いっぱい食べて痩せる」と評判になり、
そのレシピ本「体脂肪計タニタの社員食堂」が、シリーズ累計420万部という爆発的な
ヒットとなった。
出版業界では、くだんのレシピ本は写真を多用することから2万部売れれば御の字、
5万部以上ではヒットと言われるジャンルではある。
420万部という数字はまさに驚異的である。
最近の日本はTPP問題で揺れている。
「市場を開くか、閉ざすか」。「保護か競争か」。
鋭い対立軸が交差する土俵で議論は膠着している。
そして生かすか、殺すかといった極めて歪に単純化された議論の中で、
全体像が見えなくなってしまっている。
その中で、農業問題が最大の争点になっている。
進化から取り残された農業政策の中で、「農業は変わらず、農家は変わらず」が
声高に叫ばれている。
ただはっきり言えるのは、“変わらぬように見えてきた日本の農家”から、
いつしか農業を担う若い世代が消えていき、同時に活気も消えていった、
ということである。
これからは、甘言を弄せず痛みは認め、引き受けて、それに倍する果実を得るための
戦略・方法を練る時期であろう。
日米安全保障条約という足かせがある以上、交渉拒否は不可能である。
ならば早めに参加し、何を目標に、どう対応するかを考える時である。
日本全体に「守る」という言葉で、世界的な変化への対応を封じてきた面があるのは
否めない。
「守り」から「攻め」へ。
日本人の根幹の考え方(常識)を変え、日本人が営々と積み重ねてきた技術で世界に
挑戦する時期である。
その意味で、今回の「丸の内 タニタ食堂」は日本全体に今後の戦略に対する
大きなヒントをくれたような気がする。
