「市場介入」に関する考察
9月15日、日本政府・日銀は、
2004年3月16日以来、6年半振りとなる円・売りドル買いの介入を実施した。
同日の介入規模は2兆円程度と見られている。
ここで「為替介入」を定義してみたい。
「各国の中央銀行など、通貨当局が為替相場の急激な変動による経済の影響を抑えるため、
外国為替市場で通貨の売買をすること」。
「単独での介入」の他、複数の通貨当局が一定の目的を持って行う「協調介入」もある。
これまでの大規模介入としては、
1995年の急速な円高時の円売り・ドル買い介入(=日米欧の協調介入)、
2003年~2004年の円売り・ドル買い介入(=単独介入:日本・小泉首相と米ブッシュ大統領の
盟友関係が後ろ盾になったとされる)がある。
日本の場合、
介入原資は外国為替資金特別会計(=通称・外為特会)から引きだすことになっている。
総枠は150兆円。
但し、その枠は既に100兆円は使用済とされている。
そして現状値換算で、推定約30兆円の為替差損が出ているとされている。
振り返って、現状の世界の為替市場で、
l日に動く金額(デリバティブ関連を除く直物取引=2営業日後に決済する取引)は
総額300兆円~400兆円と言われている。
そのうち円絡みの取引は7%~10%前後と見られているから、
1日に動く金額は概算で30兆円~40兆円。
デリバティブを含めれば、一体どの程度の金額が動くか不透明な現在の金融市場で、
直物取引全体の1%にも満たない金額で市場を支配できるか否か。
米欧の関係当局は、介入そのものを“効果のある手段”としては見ていない。
それは現在の市場を、国家権力で抑え込むことができない“化け物”と考えるからである。
昨今の米欧が介入を避けるもうひとつの理由としては、
介入による為替差損が表面化した場合、介入を指示した政府当局がその損失の責任を
負わされるからである。
「介入資金は結局は(国民の支払う)税金」との考え方が浸透しているのである。
結局、日本政府の“(水戸黄門の)葵の御紋”のごとく繰り返す“断固たる措置”云々は、
日本政府の意向を世界に向けて表明することにはなっても、
現代の金融市場においては絶対的な切り札にはならないのである。
最終的に、現状のような円高の流れを止めるには、
「(世界の市場が)日本の円がこれ以上強くなったら困る」と思わせる手段を
考えなければならない。
「(日本政府が)これ以上の円高は困るとして採る一時的な手段」に永続的な
効果はないのである。
少々乱暴なことを言えば、現状の「輸出関連の大企業を中心としたピラミッド型」の
日本の産業システムを根幹から考え直し、新たなスタートをするチャンスには違いない。
国富ファンドを組むなり、海外の高資源産業を買収するなり、
“待ち”ではなく“攻め”の戦略が採り易い土壌には違いない。
360円から始まった円の大きな節目は、
素数の「1,2,3,5」の順で、360÷2=180円、360円÷3=120円、360円÷5=72円。
市場の現状を知らない(or実際に取引をしたことのない)大学の先生方を中心に、
「1ドル=50円の可能性がある」といった論調が出始めているが、
そうした素っ頓狂な考え方が出始めると最終段階。
政府が頼りにならないなら、日本国民が「20世紀の日本の常識を変えてしまう」
ためのチャンスと思う。
