菅首相の掲げる「夢物語」
“サッカーな日々”を過ごしているうちに、気がつけば7月。
そして11日の参院選挙が近づいている。
何を言ってるんだかガーガーと、ただただ怒鳴りたてるだけの選挙カーが街中を走ってる。
関係者は必死なのだろうけど、集中してものを書いている時など、
イラッとくることもしょっちゅう。だが、それもあと1週間。
さてどの党に“清き一票”を入れるべきか…
考えてみれば、
小鳩(小沢+鳩山)政権の後を受け、満を持して登場した感のある菅直人新政権だった。
とりあえずその所信表明演説を期待した。
しかし全くの期待外れだった。顔を上げることさえしない原稿の棒読みだった。
読むだけだったら誰にだってできる、と思った。
TVのニュースや公開番組などで、各党党首の演説は聞きたくなくても聞こえてくる。
菅首相の演説は、その昔、大学キャンパスで聞いた学生運動家のアジ演説に聞こえて
しようがない。
耳障りは確かにいい。与党の党首として“選挙に勝たん”とする一所懸命さは伝わってくる。
が、一旦中身を吟味し始めると、それが実現性の極めて薄いものであることが分かってくる。
キレイごとの羅列、いわゆる「夢物語」である。
6月27日(日本時間6月28日)、
カナダ・トロントで開催された20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)は、
首脳宣言を採択して閉幕した。
「成長に配慮した財政健全化」との基本原則が打ち出され、先進国については
「2013年までに少なくとも財政赤字を半減させる」との数値目標が明記された。
ただ日本については目標達成を強制しない「例外扱い」とし、財政の大幅悪化を踏まえた
異例の措置がとられた。
国際的にみて財政悪化の度合いが際立ち、健全化を急ぐ欧米から置き去りにされた
格好となった。ロイター通信は
「他の先進国に比べて『質の悪い財政状況』を浮き彫りにした」と伝えている。
日本の2010年度の財政赤字は40兆円を超える。
他の先進国と同様に2013年までの「赤字半減」を実現するには、
20兆円の「歳出カット」か「増税」が必要となる。
仮に消費税で手当てする場合、消費税率1%の引き上げは約2兆5千億円の増収になる。
単純計算で、歳出を増やさず、消費税を8%程度引き上げれば、ようやく先進国並みの
目標を達成できる。
菅首相は、消費税を含む税制改革について「2010年度内に改革案をまとめたい」と公言し、
回りくどい意味不明で曖昧な説明が繰り返されている。
選挙に「増税」という二文字は禁句。
だが、ガツンと響くような明確な説明がなされれば国民は納得する。
(選挙目当ての)恐る恐るの説明では、選挙民を怒らせるだけである。
2008年のリーマン・ショック後、
世界各国は財政・金融政策を総動員し、経済と金融危機を封じ込めた。
ひとまず景気は底入れしたが、民間が抱えたリスクは政府に移転され、
結果的に財政に膨大なツケが残った。
現時点での最大の焦点は「政府債務の信認危機」である。
英独などは矢継ぎ早に財政再建策を打ち出している。
それは市場の狙い撃ちされないための自己防衛である。
各国の対応には市場の監視の目が待ち受ける。
また当然ながら有権者の厳しいチェックも受けなければならない。
先進国で市場や有権者が注視するのは、構造改革を掲げるだけでなく、
それを実行し、新たな成長を切り開いていく力である。
世界の主要国で群を抜く政府債務を抱え、成長のための青写真を描けずにいる日本は、
世界から見放されつつある。
今回の「例外扱い」は、アジアの中心が完全に中国移ってしまったことを如実に示している。
選挙に勝つためには多少の方便やきれいごとなど何でもありなのか。
青臭くて馬鹿馬鹿しい「夢物語」は、聞いているだけで疲れる。
