球春
「サクラサク」。
この表現の合格電報が初めて登場したのは、約50年前、
早稲田大学だったとされている。
携帯やネットに押され、電報文化は姿を消しつつあるが、
この一文の持つ強さ、美しさに変わりはない。
日本人たるもの、桜の花を頭に思い描くとき、生命の勢いを感じざるを得ない。
東京ではその桜が三分咲きになっております。
桜の開花には違いない。
またサクラの季節の到来、春の到来には違いない。
しかしマフラーをして桜見物でもなかろうて…
サクラの季節の到来と同時に、日本では野球の季節が到来した。
お笑い芸人中心の、くだらない番組ばかり見せつけられてきた“暗黒の季節”の
お・わ・りである。
パリーグだろうが、セリーグだろうが、高校野球だろうが、メジャーだろうが、
とにかく野球なら何でもいい。野球なら…
筋書きのないドラマが始まって、何かホッとしている。
春はセンバツから。
3月21日から始まった選抜高校野球大会。
大会第三日。第三試合に地元代表・高岡商業高校の登場。
相手は、(よりにもよって)
歴代勝利新記録(59勝)を目指す高嶋仁監督率いる智弁・和歌山高校。
スクール・カラーのエンジをベースにした(もろワセダ・スタイルの)ユニフォームの
高岡商業は、氷雨の中の善戦健闘も、6対1の敗戦。
炎天下だろうが、雨中下だろうがベンチの前で仁王立ちする姿が象徴的な高嶋監督に、
歴史的な1勝を献上することになった。
以上が表面的な言い方だが、
“甲子園に出るだけが大目標”の地元チームは、負けるべくて負けたというのが実感。
途中から、「あ~ぁ、またいつものワンパターンか」になり、
しまいには、「テンション上げて応援しても疲れるなぁ~」といった展開になる。
いまや日本の野球は、日本どころか世界を目指せるスポーツになっている。
しかしスポーツ僻地(!?)では、相変わらずの狭い世界を対象にした、
アナクロな(指導者の)考え方が浸透しておりますデス。
目指すものが違うような気がするが、考え過ぎでしょうか…
ところで、大会第二日、22日に行われた一回戦で、対向陽(和歌山)に敗れた
開星(島根)の野々村直通監督の
「21世紀枠のチームに負けるなんて末代までの恥。腹を切りたい」
「やめたい。腹を切りたい。死にたいですね。もう野球を辞めたい」
「こんな恥をかくことは二度としたくない」
といった発言が大問題視されている。
今回21世紀枠で出場した向陽高校の前身は、戦前の伝統校・海草中学。
「あのチームごときに…」と言われる筋合いはない。
がしかし、日本全国の高校野球ファンの中には、この発言に対し、
拍手喝采まではいかなくとも、同感したファンもいたはず。
何を隠そう、その中のひとりが自分でした。
野々村監督の謝罪会見における、
何気に“ミズっぽい”or“その筋っぽい”ファッションが少々気になったが、
勝とう、勝ちたい、勝たせたいという熱血スタイルは現在の高校野球、
引いては日本のスポーツ界全体に一石を投じたと思う。
良い機会なので、東京六大学野球リーグ戦における、
早稲田VS東大戦でのバックネット裏の状況を暴露します。
大体が(神宮)球場がガラガラで、バックネット裏の特等席には余裕で座れます。
で、そこに座ってるのが、たいがいが(暇を持て余した、酒癖の悪い)ワセダOB。
彼らの楽しみは、酔って、ワセダの大勝で憂さを晴らそうとする、不埒の輩(やから)。
試合が始まる前から、ビール、ウィスキー、ポン酒と、何でもあり。
で、ワセダが勝ってるうちはいいが、ヒットを打たれ、一時的にもリードされると、
「お前らアタマで負けて、野球でも負けんのかッ!!」
「馬鹿はもう田舎へ帰れッ!!」
などと罵詈雑言、言いたい放題の世界であります。
それが“アマチュア野球の大本山”と言われる世界の実態であります。
振り返って、“甲子園で楽しく野球をしよう!”とする“きれいごと”のスタンスは、
確かに教育上(高校生レベルではある程度)必要ではあろうが、
選手のレベル向上にはつながらない、と思うのであります。
長々と、かつ小難しく申し上げてきましたが、
とにもかくにもサクラの季節、野球の季節の到来を、心より寿(ことほ)いでおります。
