「三つのT」から「三つのS」への問題点
11月23日、
米政府は経営難に陥った米大手銀行シティグループに対して、金融安定化法に基づく公的資金を
使った大規模な救済策を発表した。
シティが抱える3060億㌦(約29兆円)の不良債権について、損失が発生した場合、そのの大半を
政府が埋め合わせることを保証。200億㌦(約1兆9千億円)の資本注入も追加で実施する。
米政府は10月に250億㌦の資本注入をしたばかり。
今回は追加で200億㌦を注入するほか、シティは不良債権の損失を埋め合わせてもらう見返りに
70億㌦の優先株を発行し、米政府が引き受ける。
シティへの資本注入の総額は実質的に520億㌦に達する。
米政府は世界規模の金融危機の引き金になりかねないシティグループに巨額の公的資金の投入を
含む救済を決め、経営を支える意思を鮮明にした。
次いで11月25日、(突然のタイミングで)、FRBは個人向けの信用収縮を和らげることを目的に、
住宅ローン関連で6千億㌦、消費者ローン関連で2千億㌦、総額で8000億㌦(約77兆円)に上る
新たな金融政策を発表した。
ガイトナー&サマーズというルービン・ファミリーが、
タイムリー(適切な時)、ターゲテッド(的を絞り)、テンポラリー(臨時に)の「三つのT」から、
スピーディ(速やかで)、サブスタンシャル(大規模な)、セブラル・イヤーズ(数年間)の「三つのS」に
キーワードを変え、積極財政に乗り出した。
こうした積極財政に対して市場の評価は概ね良好ではある。
ただ米政府は既に保険最大手にAIGを管理下に置き、シティ以外の主要金融機関にも公的資金を
投入済み。
結果的に米政府は、民間金融のリスクを丸抱えする状態に近づき、救済策が更に膨張するリスクを
抱えることになった。
シティに関しては、本体とは別に投資専門会社に約1兆2千億㌦(約115兆円)の簿外資産を保有
している。
追加の損失の恐れも燻ぶり、今回の救済策が果たして十分かどうか。
オバマ新政権には、重い課題が持ち越されたことになる。
1929年の大恐慌以来の規模という米国発の金融危機である。
経済だけでなく、時代認識にも影響を及ぼしているのは当時と同じである。
「金融依存の米国型資本主義の終焉」
「自由放任から政府主導の時代へ」との論調が飛び交う。
歴史的に大きな節目を迎えていると言わざるを得ない。
ルービン・ファミリーが経済政策を支えるとしても、米国経済が短時間では泥沼から抜き切れず、
混迷は避けられない状況にある。
今後も大規模な財政刺激策から金融機関や自動車メーカーへの支援まで、米政府の大規模な
市場介入政策が取られる公算が大きい。
ただそうした施策をもって米国の経済が短期間に復活するとは言い切れない。
米国の復活がなるか否か。
かくして我々は、“綱渡り”のような21世紀最大の転換期に対峙している。
