北京五輪6ヶ月前のサイクル(異変)
12年振りに円は1㌦=95円台に突入した。
(東京外為市場の円の最高値は3月16日の95.77円)
ドルはユーロに対して最安値を更新するなど、主要通貨に対して底抜け状態となっている。
急激なドル安・円高と株安の背景にあるのは、米経済への不安を映したクローバルマネーの
変調である。
信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題で米国経済への信頼が揺らぎ、
ドルから逃げ出した資金はユーロを中心としたドル以外の新興通貨や、原油、金などの実物資産にも
向かう展開となっている。
こうした“負の連鎖”が目立ち始めたのは昨年夏からである。
サブプライム問題で金融機関が相次いで損失を発表、市場の不安を増幅していった。
投機資金がまず向かったのがユーロ。1ユーロ=1.3700㌦台だったユーロは
最高値を更新し続け、この3月に入って1.6000㌦に肉迫している。
投機マネーはカナダドル、豪州ドル、ブラジルなどの新興国通貨にも向かい、軒並み対ドルで
高値を更新した。
ドルからの投機資金は、外国通貨だけでなく、原油・金・穀物にも流入している。
NYMEX原油(WTI)は1バーレル=111㌦台に乗せ、昨夏の70㌦から前半から5割近く上昇。
NYMEX金も史上初の1トロイオンス=1000㌦に到達している。
こうした動きに米の金融緩和が拍車をかけている。
FRB(米連邦準備委員会)は昨年9月以降、政策金利を5.25%から3.0%へと大幅に引き下げ、
また昨年12月と3月11日の二度にわたり、海外の中央銀行とも連携し、市場への大量資金供給
を実施している。
今回の円買いの動きが(当然ながら)日本評価の動きではない。
その証拠に、外国人投資家日本株売り越しの流れが続いている。
福井俊彦日銀総裁の後任人事も難航、総裁不在という未曾有の事態が発生、政策不在を
要因として円高・株安の流れが続いている。
ただ95年の円高局面に比べた大きな違いは、
「新興国の台頭」、「グローバル化の進展」という世界の環境の変化である。
かっては輸出と言えば米国=ドル依存が強かったが、現在の日本の貿易相手国は多様化している。
07年は対中貿易が暦年ベースで初めて米国との貿易額を上回った。
ロシアやアジア各国との貿易も急拡大している。
また円高は日本の輸入購買力を強めるプラス面もある。
資源を海外に頼る日本企業は、最近の資源高も大きな収益圧迫要因になっているが、
ここにきての円高は原料・エネルギーなどの輸入価格を下落をもたらす結果、
ある程度は和らげる効果もある。
「びー・だぶりゅー・れぽーと」ではここ1年、
『北京五輪の6ヶ月前、逆算すれば08年3月あたりから相場全体に変調をきたす』
と論述してきた。
ここにきての北京五輪ボイコットの動きや、3月中旬以降のドルの全面安、
および商品全体の頭打ち・下落傾向は無視できない症状である。
今年の焦点はやはり中国になるようである。
北京五輪ボイコットが本格化すれば、世界の市場がガタガタになるのは必至。
マスコミは100円割れだけを殊更大きく取り上げているが、ここは全体を冷静に見渡し、
沈着に対処したい局面である。
