司法試験年間合格者年間3000人時代の問題点
自分は一応法学部の出身である。
“一応”としたのは自分の大学時代は学生運動の真っ盛りで、学校へ行きたくとも、
ロックアウトと称して大学側が学生を締め出し、授業どころか、試験さえなかった時代。
従って楽々どころか“何もしないで”大学を卒業してきた。
しかし世の中はそう甘くはない。
後になってイヤというほど不勉強のツケが回ったのは言うまでもない。
今も昔も、世の中の学生は完全に二分される。
「どんな状況においても、目標を持って一心不乱に勉学に励む者」
「混乱があればこれ幸いと、怠惰な生活を謳歌する者」
前者の目標とは、法学部の場合、今も昔も「国家公務員一種試験」と「司法試験」である。
自分が学生の時代、司法試験の合格者は受験者総数の3%。
毎年2万人前後の受験者があったから、総じて600人程度の合格者が出たことになる。
ところで2007年の合格者数は新旧試験合計で約2100人。
以降も漸増し、2010年には3000人になる予定。
3000人という数字の発端は、1999~2001年の「司法制度改革審議会」の意見書。
当時委員だった中坊公平・元日弁連会長が、合格者の大幅増と欧米並みの法曹人口実現を提案。
2018年頃までに法曹人口が日本に比較的近いフランス並みの5万人とすることが目標とされ、
逆算で年間3000人が示された。
「どの程度弁護士ニーズがあるか調査して算出したものではない」と、3000人の根拠が曖昧だとの
批判は当時からあった。
確かに、日本では司法書士や税理士が担う業務を、欧米では弁護士が手掛ける場合もある。
隣接職種まで含めれば、現状の日本では急激に弁護士を増やさなくても対応可能な状態にはある。
最近の世の中で有能な弁護士が必要なのは国際法関連である。
グローバルな時代、世界的な物的・人的交流が活発になる中で起こるトラブル案件を、
法律に照らしてどのように対処するか。
そのためには日本の法律だけではなく、相手の国の法律にも精通していなければならない。
何にも増して堪能な語学力も要求される。
ところが日本の司法試験は日本国内のみに重点を置き、
そうした国際的な問題に対処するような能力を求めてはいない。
要は日本の司法試験は「切った、殺られた」に代表される刑事事件や、
民間の金銭に絡む民事事件に関する専門家を創出するという、
今の時代が要求するテーマから“少々ずれてきている”のも確かである。
かくして、かっては医者・弁護士は食いっぱぐれがないといわれた“黄金の資格も”、
今や「司法試験に受かっても職がない」といった状況に陥っている。
先輩弁護士の事務所の机を借りるだけで給料はもらわない「軒先弁護士=ノキ弁」、
自宅を事務所として登録せざるを得ない「タク弁」を輩出している。
司法試験に合格することは、有力企業への就職のための武器になるのは間違いない。
しかし司法試験に受かったからと言って、輝ける未来が待っているわけではないのである。
かくして、
「知識があっても、ビジネスの世界を知らない頭デッカチのオタクは要らない」時代となってきた。
やはり時代の変わり目ではある。
