金融情報界の再編成
5月15日、金融情報サービスで世界二位の英ロイターは、
米カナダの金融情報サービス大手のトムソンの買収提案を受け入れると発表した。
買収金額は約87億ポンド(約2兆7百億円)。
新会社の「トムソン・ロイター」は、金融情報サービス業界で、ブルームバーグを抜き世界最大手となる。
一方、米ニューズ・コーポレーションは、新聞や放送で経済・金融情報を強化するため、
米ダウ・ジョーンズ(以下DJ)に買収を提案している。
ニューズは世界のメディア王と呼ばれるルパート・マードック会長の一族が議決権の三割を所有する。
ニューズは新聞から映画・テレビ・出版そしてネットへと、「メディア王国」を拡張する中で、
DJの所有するウォール・ストリート・ジャーナルの経済情報とデジタル技術を、
傘下のテレビ局やインターネットサイトで活用する狙いがある。
ロイターもそしてDJも、自分にとって浅からぬ因縁がある。
1980年代前半、ロイターは世界に先駆けて「ロイター・モニター」を独占的に販売、
“相場が目で確認できる”世界を構築、世界の金融市場をリードしてきた。
相場が刻々と動く様を画面で見て感動し、
画面を見ながらウィスキー・グラスを傾けた“嘘のような”時代もあった。
その後、家庭用のホーム・モニター、そして携帯できるポケット・モニター等を次々に発売、
金融市場に深く浸透していった。
自分の金融ディラー人生はロイターと共にあったと言っても過言ではない。
一方DJに関しては、ダウ・ジョーンズ・ジャパン創設時、青柳事務所として会社契約し、
毎朝午前3時から開始されるウォール・ストリート・ジャーナル等の日本語翻訳業務を
約2年半にわたって請け負った。
ギャラも相当なものだったが、仕事もキツかった。
ただ世界一流レベルの内容に接し、連日泣きたくなるほどキツく辛い思いをしたお陰で、
経済・法律関連の英文和訳に関しては相応の自信がついたのも事実である。
そのロイターとDJが、世界の二極化の嵐の中で吸収される時代となっている。
しかしノスタルジックに昔のことを考えている暇などない。
英インサイド・マーケット・データによると、世界の金融情報サービス市場は2006年比11%増の
125億5,500万㌦(約1兆5千億円)に拡大している。
世界の株式代金が06年に約70兆㌦(約8,400兆円)と02年比2倍に膨らむといった状況の中で、
金融情報サービスへの需要は強く、IT時代の更なる進捗に沿って、
市場規模は07年以降も10%前後の高い成長が見込まれている。
ニューズのルパード・マードック会長が喝破するように、
「金融情報の魅力はカネになる」のは間違いない。
こうした荒波の中で、日本は果たして対応できるのであろうか。
2010年という節目に向け、未曾有のとてつもなくデカイ波が押し寄せてきている。
