MLBの経済学 -ゴジラ・松井の復活なるか-
テキサス・レンジャーズのダルビッシュ・有の活躍が目立っている。
現地時間5月16日のオークランド・アスレチックス戦で6勝目を上げた。
日本の時と同様に、“打てるものなら打ってみろ!”式の、
“上から目線”の(いい意味でのダルビッシュ式)手抜きスタイルも戻った。
このままだと20勝も夢ではない状況。
ポスティングによるレンジャーズ入団には入札金を含めて1億1千万㌦(85億円)と
いう巨額が動いたが、その金額に文句を言わせない活躍である。
そのダルビッシュの活躍が“光”とすれば、“影”は55番・ゴジラ・松井。
所属先が決まらないまま2月下旬に渡米、そのままニューヨーク郊外の施設で
自主トレを続けてきた。
キャンプからオープン戦、そして公式戦が始まって1ヶ月経っても松井の獲得に
動く球団は皆無だった。
時間が経てば経つほど契約は難しくなっていった。
米国での契約は絶望的と思われ、巨人やDeNA、楽天など、日本の球団が水面下で
ラブコールを送る中で、事態が急展開したのは4月20日過ぎのことだった。
現地時間4月23日に地元メディアが一斉に松井獲得を報じ、
4月30日、レイズは正式にマイナー契約を結んだことを発表した。
5月1日、本拠地・トロピカーナ・スタジアムで、マイナー契約選手としては異例な
入団会見を行っている。
松井の置かれた立場は年棒が全てを物語っている。
6年前、松井がヤンキースと交わした契約では4年間で5200万㌦(約41億6千万円)。
自己最低といってよい成績に終わった昨年でさえ、425万㌦(約3億4千万円)。
今回の契約はマイナー契約であり、年俸は40万㌦(約3200万円)。
十分の一にまで極端に下げられる、いわばバーゲン・セールである。
マイナーは若手育成の場である。
移動は基本的にはバス。飛行機でもエコノミークラス。
1日の食費もメジャーは106㌦(約8480円)でステーキ・リーグと呼ばれ、
かたやマイナーは3食を25㌦(約2000円)で賄なければならない。
ハンバーガー・リーグだのホットドック・リーグと揶揄される所以である。
これまでも松井は、ケガのリハビリのためにマイナーでプレーしたことはあった。
しかし今回は全く立場が異なる。
ヤンキースで4番を打ち、ワールドシリーズでMVPに輝いた松井が、
調整ではなく結果を求めて3Aでプレーをすることになった。
「松井は野球をやりたかったのだ。ここ数年はひざの故障などで満足なプレーは
できなかった。だから日本ではなく、米国でもう一度、とこだわった…」。
諸般の論調は松井に対して概して好意的で、美辞麗句で苦境・松井を報じている。
しかしその実は、MLBで10年プレーすればMLBの生涯年金の額が違うことも
松井がMLBでのプレーにこだわる大きなポイントのようである。
要は「今年中をはいつくばって10年という時間の経過があれば生涯安心」というのが
松井の究極のシナリオのようである。
プロスポーツの世界はどうしても金銭が絡む。
たかが野球、されど野球である。

